研究テーマ

電力設備の耐雷設計・保守高度化に関する研究

(1)超低コストな落雷位置標定システムに関する研究
 落雷位置標定装置は,電力会社や気象会社が導入し,設計や保守などに活用されているが,一般にはあまり情報は公開されておらず,詳しい情報は有料で提供されている。これまで,一般には落雷情報の入手は困難であったが,ITの技術革新のスピードは著しく,スマホに代表されるように高性能かつ安価な端末が提供されている。このIT技術を活用し,VLF帯の空電観測による超低コストな落雷位置標定装置に関する研究を実施している。具体的には,欧州や米国で導入が始まったBlitzortung.orgに日本で初めて接続し,世界規模の落雷位置標定ネットワークに加わった。H28年度は日本全国で13カ所程度受信局を展開し,アジア圏における防災に役立てるとともに,国内でも低コストかつ精度の良い情報を提供した。H29年度は、さらに国内外に受信局を増設し、精度向上を図る予定である。
 落雷位置標定システムは下記のリンク先にあります。
(2) 架空送電線の点検ロボットに関する研究
 大電荷量を伴う落雷で架空地線が溶損・溶断するケースがあるが,送電線の点検はIT化や自動化が困難であり人手による保守点検となっているのが現状である。一方,送電線の保守職場は,人手不足,作業員高齢化の問題が進む中,電気料金を下げる社会からの要請があり,点検コストの削減が求められている。さらに,建設されたインフラの老朽化が進み,保守が困難な状況が続いている。これらを解決する手段として,低コスト,軽量,簡単な構造のロボットが求められている。
本研究室では,実際の架空地線を現場と同じように難着雪リングやアーマロッド,カウンターウェイトを付けた架空地線を実験室内に張り,どのようなロボットが必要か,センサーは何が必要かを検討し,簡単かつ軽量な点検ロボットを研究している。
(3)ELF帯の空電観測による雷電荷量推定に関する研究
 大電荷量を伴う落雷により架空地線が溶損・溶断するケースが散見される。早期発見により補修をすることが重要であるが,従来の落雷位置標定装置では,電荷量を推定出来ない。そこで,ELF帯の空電観測により得られる落雷の電荷モーメントに関する情報を活用し,電力設備の被害状況と照合することにより落雷の電荷量を推定する手法を電気通信大学と東京電力の3者で共同研究している。